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市民健向講座アーカイブ

2023年市民健向講座「気管支喘息とアレルギー疾患2023」後編

本記事では、市民健向講座にて「気管支喘息とアレルギー疾患」をテーマに、
複十字病院副院長 呼吸器内科 早乙女医師にお話しいただいた内容をご紹介いたします。
後編はぜん息を中心としたお話です。

前編はこちら
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  1. ぜん息について
  2. 気管支ぜんそく治療の基本的な考え方
  3. 吸入器について
  4. ぜん息の悪化因子とその対策
  5. 運動誘発喘息への対応
  6. アスピリン喘息について
  7. アレルギー関連の情報サイト

ぜん息について

ぜん息が起こる場所


 これは喘息の話ですが、喘息が起こる場所。
これは空気が通るところですね。鼻から入った空気が、あるいは口から入った空気が気管を通って気管支、肺の方に入っていく。喘息はこの肺の端っこの方ですね。肺の奥の方で起きる反応が多いんですね。

ぜん息とは


喘息の方は、アレルギーが原因で、気管支、気道に慢性的な炎症が起きています。
アレルギーによる炎症です。この気道がさまざまな刺激に過敏に反応して収縮、ギューッと閉まっちゃうんですね。狭くなってヒューヒューいいます。
さらに、咳とかたんとか呼吸困難といった症状が出る。主に夜間早朝に息苦しさが出る、咳が出る、ゼーゼーヒューヒューする。
それから運動したり、冷たい空気とか煙で咳が出る。これが喘息の特徴になります。

ぜん息の人の気道の様子


 これは普通の人の気管支を輪切りにしたものの拡大なんですけども、喘息の人はこの壁が厚くなって中が狭くなっちゃうんですね。
いつも赤く腫れたような状態で、少しの刺激にも過敏に反応する。ダニのかけらが入ってくるとびっくりしてギューッと閉まってしまう。それで苦しい苦しいという風になります。
そうするとこんな具合になる。たんも出てきて苦しいよ苦しいよという風になります。今、これを治療するにはまず気管支を広げてやる。気管支拡張薬を使ったり、この炎症をきれいに取っていく吸入ステロイド薬を使ったりするわけです。

リモデリングとは


 リモデリングというのがございまして、これは喘息が長年にわたってずっと続いた場合に、気管支の壁がどんどん厚くなって中が狭くなって、気管支が狭い人になっちゃうんですね。
喘息の悪い状態が何年何十年も続くと、壁がガチガチになって中狭くなって、一年中ヒューヒューいっている人になってしまう。これをリモデリングといいます。
これらは是非避けたい話で、一回こうなっちゃうと元に戻れないものですから、ひどい発作を起こしやすいです。今80、90代ぐらいの喘息持ちの方は、若い頃いい薬というのはなかったですから、こういう風になっちゃっている人結構いるんですね。
治療しないとリモデリングで気管支が狭い人になってしまう。今はいい薬がありますので、きちんと押さえておけばこうはならない。
今でも喘息で亡くなる方、結構1000人ぐらい毎年日本人亡くなっているんですけど、ほとんどが70、80代以上。いい薬がなくて、こういう状態になっちゃった人が亡くなられています。
お薬をちゃんと使えばこういうことが起きないので、症状があってもそのうち治るからいいや、ということで放っておくとこうなっちゃう、ということで気をつけていただきたいと思います。

気管支ぜんそくの病態


 先程アレルギーの仕組みについてお話ししたんですけど、今は研究が色々進んで登場人物がすごい増えたんですね。
リンパ球の種類もいっぱいあって、さっき言った古典的な部分。この部分なんですけど、これ以外にも自然免疫と呼ばれるもの。
それから、いわゆるアトピー型とはちょっと違うタイプのものが色々絡み合って、気管支の筋肉を収縮させるような作用を起こしている。
この色々な信号を出すサイトカインっていうんですけれども、体の中の物質、この信号を断ち切ることで症状を軽くする色々な治療が今開発されて実際にお薬として使われるようになってきています。
喘息も色々なタイプがあって、それぞれに対して一番合う薬を使うという時代にだんだん変わってきております。

気管支ぜんそく治療の基本的な考え方


 気管支喘息の治療の基本的な考え方は、喘息の症状ゼロを継続することです。
吸入のお薬ですね。治療のお薬を吸った時に、楽になった、これはいいやという風にもし感じたならば、それは気管支がぎゅっと閉まっていて、そこに薬が入ってきてふっと開いて楽になったという状況ですので、喘息発作が起きているんですね。
ですので、薬を吸って楽になったのは、これはあまりいい状態ではない。薬が足りてないという風にお考えください。
毎日毎日薬吸うと楽になるというのはあんまりいい状態じゃない。もうちょっと薬がいるよということです。
症状がなくても、医師の指示があるまでは薬はやめないで。実際に治療のステップダウン、薬を減量するのにはですね。
2、3か月様子見て大丈夫かなと思ったら少しずつ減らしていくんですけど、いきなりスパンと切ると大体悪くなりますので、用心して少しずつ減らすという方がよろしいかと思います。

ぜん息の薬「長期管理薬」と「発作治療薬」


 喘息の薬はですね。長期管理薬と呼ばれる長期に使う薬、さっきの気道の炎症を抑えるお薬。これは症状がなくても毎日使うというお薬があります。
後、発作治療薬、気管支を広げて呼吸を楽にする。発作の時だけ使用する薬があります。基本的には長期管理薬をしっかり使って、発作の治療薬はいりませんという状態に持っていきたいと思います。

長期管理薬


 長期管理薬というのは、気道の炎症を抑える薬と気道を広げる薬で発作を予防します。
長期間使って初めて本当の効果が出ます。症状がないからと言って、途中でやめるとまた悪くなりますので、医師の指示に従ってちゃんと使っていただきたい。
これは吸入ステロイド、抗アレルギー薬、長時間作用性のβ2刺激薬、あるいはテオフィリン、抗コリン薬といった種類がありますが、お医者様のおっしゃったように使っていただきたいと思います。

ステロイド薬の種類と役割


 ステロイドというのはアレルギーを抑える一番強いお薬なんですね。吸入ステロイドってのは直接口から吸い込んで使うお薬。
それから経口ステロイドというのは、錠剤のお薬飲んで、胃袋に入って腸に入って、そこから吸収されて全身で効く薬。
吸入ステロイドは基本的に肺の中に入るだけですが、経口ステロイドというのは全身に回ります。ですので、吸入の方が全身の副作用は少ないです。
経口ステロイドは効くんですけども、どうしようもない時使うんですけど、長時間使いますと糖尿病を起こしてくるとか、骨が弱くなって圧迫骨折を起こすとか、色々な問題が起きてくる可能性があります。

発作治療薬


 発作治療薬としましては、短時間作用性のβ2刺激薬、商品名で言いますとメプチンエアーとかサルタノールという薬がございます。
これは使っていいんですけれども、これだけに頼って、発作を治療するスプレーだけに頼って、1日に10回も20回もやりますと炎症は全然収まっておりませんので、気管支はどんどん悪い状態になっていきます。
ですので、これだけに頼ることはできなくて、1日3回か4回必要であれば、もう他の薬できちんと発作が起きないように抑えてあげるという必要がございます。

吸入薬について

吸入器の種類


 吸入の薬は色々あるんですけれども、一つはpMDIと呼ばれるスプレー式のお薬ですね。上をプシュッと押すとここからガスと一緒にお薬が噴射される。タイミングを合わせてすっと吸い取って使う。
後はドライパウダーというのは器具(?)を操作して、粉状のお薬が器具から出るんだけど、自分で吸い込む、吸い取るんですね。
ソフトミストというのがpMDIと大体同じですけど、器具を操作して出てくる霧を吸い込んで使うというタイプの薬。

エアゾール製剤(pMDI)の吸入方法


 そのpMDI、スプレー式のお薬は、一般には吸入器をまず振って息を吐いて、それからボンベを押してタイミングを合わせて吸入する。息を止めて体の中にちゃんと入ってから息を吐く、それでうがいをする。

吸入手技は大丈夫?


 それからこれはドライパウダーの吸い込む粉のお薬の写真なんですけど、まっすぐに立てますと書いてあるんですね。これまっすぐに立てないとどうなるのかですけど、薬の一回分の量が減ってしまうことがあります。
この薬、この辺に薬のタンクがありまして、これはクルっと回すと中で円盤が回って、穴が空いているところに円盤が合うと、重力で一回分ストっと落ちるという仕組みになっています。
これ横向きで回すと落ちませんので、まっすぐ立てないとお薬出ないです。せっかく買ったお薬がみんな無駄になります。これちょっと大事なんです。まっすぐ立てる。
それからこちらはさっきのスプレー式のお薬ですけど、この人実は逆さまに持っているんですね。これは上下反対なんです。上下反対でやりますとですね。下にお薬があって上がガスで、ガスだけ出てお薬出ない内にガスがなくなって何も出なくなる。
全部無駄遣いということになります。これを逆さまに使う人時々いるんですけれども、何にもなりませんので。吸入の薬って吸えてナンボなので、吸えないと何にも効果が出ません。

吸入療法の失敗例


 吸入療法の失敗は結構多いようなんですね。吸入のタイミングずれちゃうとか、口の横から漏れちゃうとか、特にお子さんですと吸ってといっても、吐いちゃうことあるんですね。
リコーダーじゃないけど吹いちゃ駄目だよと、お父さんお母さんがやってみて、こうやるんだよって教えてあげないと難しいようです。
お薬吸入の準備操作だけして、その辺から出てくるという風に誤解する方もいるんだそうです。
吸入カプセルの穴開けないと出てこないやつあるんですけど、この辺の操作を忘れるとか、本当は吸入するんだけど飲んでしまうとか。
高齢になると認知症で今まで使えていた器具が使えなくなっちゃう。そういう方もおられます。

pMDIにスペーサーを用いた吸入手技


 これは吸入が上手にできないお子さんの場合に、スペーサーというのを使う方法があります。
このスプレー式のお薬をスペーサーの中に吹き込んでやる。その状態、口鼻に押し当てた状態で、「はいじゃあ息を吸って吐いて吸って吐いて」という風に指示をすると、少しずつお薬が入ってくるように出来ているんですね。
これはお子さんですけども、認知症になってきたご高齢の方もこの方式は結構良くて、おうちの方に器具操作していただいて、口鼻にきちっと押し当てていただいて、「はいおじいちゃん吸って吐いて吸って吐いて」とやりますと、タイミング合わせがいりませんので、上手に吸えるといったこういった工夫もございます。

吸入薬の問題点


 吸入薬は使い方がよく分からないとおっしゃる方結構います。主治医、薬剤師さんなどに吸入指導をお願いすれば今やってくれます。一回何十円かお金を取るんですけど、吸入指導をやってくれますので頼んでみてください。
教えてもらってもうまくできない、どうやってもできない場合は、吸入薬の変更、あるいはさっきのスペーサーというのを使う方法があります。
あといつの間にか、誤った自己流の使用方法になる方が結構いますので、我々も何カ月かしたら「もう一回ちょっとやってみてね」ということで確認をしております。

ぜん息の悪化因子とその対策


 喘息の悪化因子いろいろあります。一つは感染ですね。風邪ひきとか色んな感染によって喘息は悪化します。これはうがい手洗い。
それから薬剤とか化学物質の過敏性の人がいます。これはその人その人でいろいろあるんですけれど、アスピリンという薬がですね。喘息の引き金引く人も中にはいます。
それから花粉症、それから煙とか大気汚染ですね。あと喫煙はダメですね。ベランダで蛍族でもやっぱり家族に影響が出ます。あと冷たい空気の吸入とか気候の急な変動。
例えば台風が来ると悪くなると言った人はおられます。台風なんかの場合はですね。その時だけちょっと薬を増やして症状を抑えるといった工夫も必要かと思います。
あと予防接種ですね。インフルエンザ、お子さんですとヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、新型コロナのワクチンなどして、感染症にかからないようにしたい。

運動誘発喘息への対応


 あと運動誘発喘息というのがあります。
これちょっと古いですけど、長野オリンピックでスピードスケート優勝した清水選手って覚えていらっしゃる方もいるかもしれないんですが、この人、気管支喘息を持っている方なんです。
喘息患者なんだけど、ぜんそく力って本を出しているんですけどね。この人は金メダルとりました。
運動した時に起こる喘息発作を運動誘発喘息と言います。喘息だからといって必要以上に運動を制限する必要はありません。普段から治療を継続して喘息をうまくコントロールしていくってことは、運動誘発リスクを起こさないためのポイントになります。
上手にやれば金メダルを取れると。歩行とか水泳では起こりにくくて、ランニングで最も起こりやすい。オリンピック選手の調査で約13%がアスリート喘息という結果が出ています。
オリンピックの選手ってすごい勢いで空気を出し入れするものですから、肺の中に乾燥した冷たい空気とか、ほこりが急激に入り込むということで喘息を起こしやすくなると言われています。
通常の普通の大人が1分間に肺に出し入れする空気って5リッターぐらいなんですけど、競技によっては100リッター200リッターの空気を出し入れするというのが運動選手なんですね。
そうしますと普通鼻からゆっくり吸って、湿気や温度をある程度調整されて肺に入るものがですね、直で肺の中に冷たい乾燥した空気、埃も入るでしょう。そういったことで喘息を起こしやすくなります。
運動の前にですね。発作治療薬を使用する方法も有効です。ただ、これは競技によってはこれはダメ、あれはダメかという制限がかかっているものもありますので、本当の競技のスポーツの人は、コントロールに従わなきゃいけないですけどね。
あとですね、小麦とかエビが運動誘発喘息の引き金を引くことがあるんですね。走るとゼイゼイしちゃうお子さん、喘息持ちのお子さんの場合は運動会の日はですね。小麦とかエビの入ったお弁当は持たせないと。
サンドウィッチとかエビフライはちょっと我慢して、おにぎりに焼き肉といった工夫も必要なのかと思います。

アスピリン喘息について


 アスピリン喘息というのもございます。これは、アスピリンなどの解熱鎮痛薬と一般に売られているお薬もあるんですが、それに対する過敏性、薬剤の内服、あるいは座薬、あるいは注射で喘息発作を起こしちゃう人がいるんですね。
これ血液検査では分かりません。実際に使用してみて初めてわかる。
成人喘息の人の5から10%と言われています。逆に言うと、残りの9割の人はそういうことはないんですけども、こういう体質を持っている人は要注意。特に鼻にポリープ(鼻茸)がある方は注意です。
ジクロフェナク、商品名ボルタレン、ロキソプロフェン、ロキソニン、イブプロフェン、イブ、などの酸性解熱鎮痛薬と呼ばれるものは要注意なんですね。
一方、アセトアミノフェン、チアラミド、セレコキシブなどは比較的安全に使えます。
合成着色料、特にタートラジン「黄色4号」というのは、このアスピリン喘息を起こすことがあるんです。挿絵はゼリーとかキャンディー描いてるんですけど、ゼリーとかシロップとかキャンディーにこの黄色4号が入っていることがあります。
これは合法的な着色料なので、入れても別に罰則は何もない。喘息の人でアスピリンの過敏症のある人は、人工着色料、特にオレンジ色は気をつけていただきたいと思います。
昔々ですけど、バヤリースオレンジというオレンジジュースに黄色4号が入っていまして、喘息発作を起こす方が結構出たんですね。
バヤリースは入れるのをやめたんですけれども、そういった事件もございました。

アレルギー関連の情報サイト


 アレルギー関連の情報のインターネットのサイトをご紹介します。
東京都のアレルギー情報ナビ喘息などの情報館日本アレルギー学会「一般の皆様へ」と、これは皆さんが見てわかる内容が書いてございますので、お帰りになってインターネットで検索してもらえば出てきますので、ぜひお勉強なさってください。


はい以上です。どうもお疲れ様でした。
 
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