電話する メニュー
市民健向講座アーカイブ

2023年市民健向講座「気管支喘息とアレルギー疾患2023」前編

 2023年9月30日(土)、清瀬市生涯学習センター7階アミューホールにて複十字病院市民健向講座を実施いたしました。ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

 本記事では、複十字病院副院長 呼吸器内科 早乙女医師の講演「気管支喘息とアレルギー疾患」の内容をご紹介いたします。前編はアレルギーを中心としたお話です。喘息とアレルギーについて知りたい方はぜひご覧ください。

動画配信はこちら から

前編

  1. アレルギー疾患について
  2. ぜん息とアレルゲン
  3. アレルゲン対策

アレルギー疾患について

アレルギー疾患とは


 アレルギー疾患というのは幾つかあるんですね。
アレルギー疾患対策基本法というのがございまして、その中で気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギー、この6疾患が法律の上ではアレルギー疾患ということで認識されているんですね。このほかにも、全身のいろいろなところにアレルギーによる病気が起きることがあります。
これらのアレルギー疾患は共通の部分もあるし、違う部分もある、ただアレルギーという一つのくくりの中で共通部分の多い病気のグループになるわけですね。

アレルギー反応の種類


 アレルギー反応にはいくつか種類があります。一番我々の身近にアレルギーとして認識されているのがⅠ型アレルギーと呼ばれるもので、これは即時型、反応がすぐに起きるタイプのアレルギーで、これはアトピー型という言い方もございます。
これはアレルゲン、アレルギーの元になる物質が体に侵入してきたときに、多量につくられたIgE抗体というものが、再びアレルゲンが侵入することで反応を起こすという仕掛けになっています。これはちょっと後で詳しくまたお話しさせてもらいます。
このⅠ型アレルギーにかかわる病気としては、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、じんましん、花粉症、食物アレルギー、アナフィラキシーショック、アナフィラキシーというのは、アレルギーのもとになるものを食べたりなにかしたときに非常に激しい反応が起きて場合によっては命を落とすと言った非常に強いアレルギーがあるのでございます。
このほかに、Ⅱ型アレルギーⅢ型Ⅳ型というのがございます。Ⅱ型アレルギーは細胞障害型と呼ばれまして、お薬のアレルギーなんかがこのⅡ型アレルギーに相当するんですね。比較的時間が少し経ってから出てくるような反応になります。
Ⅲ型アレルギーは免疫複合性といいますが、自己免疫、自分の免疫のシステムがおかしくなって病気になる一連の疾患がございます。そういったものがⅢ型アレルギー。Ⅳ型アレルギーは遅延型と呼ばれまして、ツベルクリン反応なんかもそうなんですが、注射をして2日ぐらいして赤い反応が出てくる、そういったゆっくり起きるものですね。
これらいろいろなアレルギーがございます。今日はⅠ型を中心にお話をさせていただきます。

アレルギーによって気道の炎症が起こるメカニズム


 これはⅠ型アレルギーの仕組みを模式的に描いたものです。
この右上のアレルゲンというのはダニのかけらであったり、カビであったり、いろいろなものなんですけれども、これが1度目の侵入、アレルゲンが体内に侵入すると、この樹状細胞というのが最初にアレルゲンを認識いたします。樹状細胞から信号が出て、このヘルパーT細胞に外からこういうものが入ってきたよという情報を伝えます。これが今度B細胞というリンパ球の1種、これに情報を与えまして、このB細胞はIgE抗体という物質をたくさんつくる。これがマスト細胞あるいは肥満細胞と呼ばれる免疫細胞の上に、このIgE抗体というのがたくさんくっつくんですね。
ここまででアレルギー反応が起こる準備ができる。まだアレルギーの反応が起きていないんですが準備ができると。もともとこういったアレルギー反応というのは、人間の身体を壊すためにあるわけではなくて、寄生虫や何かが入ってきたときにそれを退治するためにつくられたと考えられているのですが、実際にはダニとかカビが人間の身体に入るとこういった反応が起きてしまうということで、病気の引き金を引くということが知られております。こうやって準備ができた状態で、例えばまたダニのかけらを吸い込んでしまったというようなことが起きて、ダニアレルゲンが体の中に侵入する。
そうしますとここにくっついてるIgE抗体とアレルゲン、ダニの死骸のかけらだったりするわけですが、これがくっついて、マスト細胞(肥満細胞)がびっくりしていろいろなものを出すんですね。これは本来は外敵を退治するために作られた仕組みなんですけれども、これが逆に人間の体を壊す方向に働いてしまう。アレルゲンがIgE抗体と結合すると、炎症を引き起こす物質が放出されます。
気管支喘息の場合も、これ気管支の中で起きまして、気道に炎症が起こる。皮膚で起きますとアトピー性皮膚炎となる病気が同じようなメカニズムで起きてくるということなんですね。

ぜん息とアレルゲン

ぜん息を悪化させる要因 アレルゲン


 喘息の場合、悪化させる要因としては幾つかアレルゲンがあります。
代表的なのはダニです。それからカビ。これ合わせてハウスダストって呼ばれる場合もあります。ダニに対しては、家の中のダニ対策が必要です。カビはカビ対策が必要です。喘息の方は、ダニがいっぱいのおうちに行っちゃうと具合が悪くなるといったことはしばしば経験されるんですけれども、ダニは普段からコントロールしなければいけない、カビもなるべく少ないおうちにしたい。
それから花粉ですね。花粉自体が喘息を起こすことはあまりないんです。花粉の粒子が結構大きいので、気管支の奥までは入らないから鼻の粘膜で、あるいは眼、結膜で反応起こすことはよくありますけれども、直接喘息の引き金を引くことは少ない。ただ、花粉症で鼻汁がいっぱい出ますと、これは喉の奥へ流れていって、気管支に入っちゃったりして咳のもとにはなります。
ですので、花粉症の時期はやっぱり花粉の治療もちゃんとした方がいい。それから動物ですね。猫・犬・ウサギなどですね。特に猫はアレルギーの元になることが結構多いです。猫の場合、猫の毛とかフケだけではなくて、猫の唾液の成分もアレルギーの元になるんですね。
猫はその辺をペロペロなめた、その舐めた唾液に入っていた成分が乾燥して粉になって飛ぶと、これを吸い込むことでアレルギーの反応起きちゃうこともある。それから、ウサギとかハムスターとかげっ歯類も結構アレルギーの元になることが多い。犬アレルギーの人は数は少ないのですけども、ただ犬がいるとどうしても毛とかフケが落ちておうちの中のダニが増えてしまうんですね。
ですので、なるべく動物の毛とかフケが落ちないように気をつけたいと思います。

ぜん息の原因となるアレルゲン


喘息の原因となるアレルゲンですね。
喘息は今言ったアトピー型と呼ばれるⅠ型アレルギーのタイプの方が6割、そうでない原因があんまりよく分からないような非アトピー型と呼ばれるのは4割ぐらいになります。
今日はこのアトピーの方を主体にお話ししますが、先ほど申し上げたようにダニとかカビとかペット、あとガとかゴキブリも原因になることはあります。

アレルゲン対策

アレルゲン対策 ダニ


 まずアレルゲンの対策ですね。ダニですけれども、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニというのが喘息を起こすダニの代表です。温度が20度から30度、湿度が70%以上という条件で繁殖しやすい。
ホコリの中とか寝具、お布団にアレルゲンとなるフンとか、ダニの死骸とかがたくさん溜まってきやすいですね。
対策としてはホコリをなるべく溜めない、湿気対策をする、よくあるのはお布団です。対策をお願いしたいと思います。
目に見えるホコリをこまめに取り除く、あと掃除機でよく掃除する。
ただお掃除するときですね。掃除機はお尻から風がブワーっと出ますと家の中のホコリが舞い上がって喘息の症状が出る方がいます。
ですので、ホコリを舞い上げないようにお掃除に気をつけていただきたい。まず最初に例えばベランダの戸を開けて後ろに掃除機のお尻を出してそこから始めるとかですね。
どうしてもほこり出やすいとこはふき掃除にするとか、そういった工夫をしてホコリをなるべく巻き上げない。
掃除機もハンディータイプで、手元から排気するようなものですとホコリが比較的舞い上がらないので、そういったものの方がいい場合もございます。
それから布団カバーとかシーツはまめに洗濯していただく。布団の天日干し、あるいはふとん乾燥機でもいいんですけど、布団をなるべく乾燥させたい。
ただお布団干した後に布団たたきはダメなんです。布団たたきをやりますと、中からダニのカケラのホコリがいっぱい出てきます。
それが布団の表面に乗っかって、その布団で夜をお休みになると、ダニのかけらを吸い込んでしまうんですね。
布団叩きはしない。布団を天日干して取り込んだら、掃除機の先に布団専用のアタッチメント、布団専用というのがありますので、それをつけて丁寧に吸い取ってもらうと、これがよろしいかと思います。
布団たたきは御法度と覚えてください。もちろん押し入れの風通しよくする、後は市販の防ダニシーツとか防ダニ布団カバーってのもございます。そういうものを利用する手もあると思います。

アレルゲン対策 カビ


 それからカビ対策ですね。カビとしてはアスペルギルス、アルテルナリア、カンジダなどが代表的なんですけど、家の中のホコリ、人の皮膚、空気中などいろいろなところにございます。
これは湿気対策ですね。エアコンのフィルターを掃除する。それから長時間留守にする場合は扇風機を回しておくとかですね。
あと、24時間の換気機能、除湿器などの活用。あと観葉植物とか水槽がありますと、どうしても湿気が家の中に溜まりやすい。これを気をつけてください。
あと、カビの胞子が室内中を飛び散るということで、加湿器は要注意なんです。
喘息だけじゃなくて、加湿器が原因で起きる加湿器肺っていう病気もございまして、加湿器のタンクとか水の通り道にカビの生える、ヌルヌルが付くという状況で加湿器を回しますと、ヌルヌルの成分のカビとかいろいろなものが霧みたいになって飛んでくるんですね。
これが家の中に充満しまして、そういったカビやなんかの成分を吸い込んで病気になってしまうといった加湿器肺ってのもございます。
加湿器を使うのであればタンクの掃除ですね。あと水の通り道も全部きれいに掃除しないと、いろいろな有害なものを吸い込む可能性がある。これは気をつけていただきたいと思います。
台所とか浴室のふきん、タオルは毎日交換して洗濯ということです。

アレルゲン対策 ペット


 あと、ペットですね。ペットは猫アレルギー、ウサギアレルギーの人は飼わない方がいいんですけれども、どうしてもということであれば、アレルゲンがなるべく少なくなるようにしたいと思います。
ただ動物アレルゲンは低分子、分子が小さくて非常に軽いので、飼っているだけで家の中に結構広がります。
最低限寝室には入れない、猫とか犬とかですね。そこは最低限守っていただきたいんですけども。後、カーペットの部屋に放しておくと、やっぱり毛とかフケが掃除しきれないんですね。なるべく板の間の方がよろしいかと思います。
対策としては手放すか屋外で飼育するというのが最も望ましいわけですね。室内で飼う場合は、フローリング床の部屋など場所を限定する。空気清浄機を使う。寝具を洗う。ペットを定期的に洗うといった対策が考えられます。
ただ、猫は外で飼うのは御法度の時代になっちゃっているものですから、なかなか難しいかとは思いますが、猫を外で飼うと色々な病気もらってくるんですね。
ウイルスの病気とかダニや蚊が媒介する病気とか、なので今は猫を外に出しちゃいかんという風になっておりますので、今どうしても飼うなら板の間でなるべく空気を分離して飼っていただくということになるかと思います。

家の中のアレルゲンが潜みやすい場所とその対策


 これは家の中のアレルゲンが、アレルゲンでダニとかカビとかが潜みやすい場所とその対策になります。この布団はよく干しましょうとかですね。
照明は天井に張り付いているといいんですけど、ぶら下がるやつの上にはホコリがたまります。そこはまめに掃除する必要がありますので、天井に張り付いている方が掃除は簡単ですね。
それからソファーとかクッション、こういった布製品はダニがどうしても生息しやすい部分で、ぬいぐるみなんかもそうですね。時々洗う。
アレルギーがきつい方、あまりソファやクッションに布製品を使わない方がよろしいかと思います。
あと、カーテンも時々綺麗にしないといけませんね。ブラインドにしてしまった方がホコリは少ない、掃除もしやすいと思います。
カーペットはどうしてもダニの温床になりやすいので、できれば板の間にしてしまった方がよろしいかと思います。あとこれは加湿器使わないと書いてますね。
あと換気をよくしましょう。押入れは空気を入れ替え、スノコを敷く、スノコを敷くと下に空気が回りますので、それで結構湿気は風が通れば湿気がたまらないです。
タンスなんかも下に空気が通るようにしてあげると、タンスの後ろのカビが生えにくくはなります。地震の時倒れないように気をつけて設置してください。

アレルゲン対策 花粉


 あと花粉ですね。花粉症いろいろございます。春のスギ花粉が一番代表的かと思いますが、そのほかに今スギ花粉2月3月ですが、その後4月から5月初めぐらいがヒノキ、後ハンノキとか白樺。
白樺は本州では2000mクラスにしか生えませんが、北海道では平地にも生えています。
北米アメリカあたりでも平地に生えている。白樺アレルギーの人は一定数おられます。
あとは夏はカモガヤ、それから今ぐらいの時期もうちょっと前ですが、イネ科の花粉症がございます。イネじゃなくて、イネの仲間の雑草ですね。
カヤツリグサとかいろいろあるんですけど、そういう花粉症は夏はあります。秋はブタクサとかヨモギでこういった花粉が季節季節であるのです。
ただこの花粉から逃げること実際はできない。マスクするとかゴーグルするとかございますが、雑草から逃げるのはなかなか難しいので、お薬で抑えるしかないのかなと、飲み薬であったり、鼻に使う薬であったり、目薬であったり、あとは今お注射でオマリズマブという結構よく効く、ちょっと高いですが、そういうお薬もございます。
花粉とダニのアレルギーは、両方を同時並行で持っていらっしゃる方が結構世の中多くて、花粉は季節季節ですが、ダニ、カビは大体一年中。一年中鼻が出ている人は大体ダニアレルギーをお持ちの方が多いです。
ただ、対策は一緒でお薬も一緒です。アレルギーを抑えるお薬を上手に使って、花粉症も抑えて喘息も悪くならないようにしましょうということになってまいります。


 花粉はですね。花粉を寄せ付けない室内に持ち込まないということですね。マスク、眼鏡、ゴーグル、それから花粉が多い日はあまり出かけない。
あとは換気は大事なんですけど、花粉を入れないようにしたい。
それから表面がケバケバしているものが花粉を引きつけて家の中に持ってきちゃうので、ツルツルの物の方がいい。花粉症の時期は布団や洗濯物を外に干さない、花粉が多い日はですね。
スギ花粉症に関しては、体質を改善して花粉症を根本から治療するスギ花粉アレルゲン免疫療法がございます。
これは耳鼻咽喉科になりますけれども、毎日毎日スギの花粉の成分が微量に入った錠剤型のものを口の中に入れるんですね。何年もかかるんです。
全員が良くなるわけじゃないんですけども、うまいこといきますと花粉に反応があんまり出なくなるといった治療でございます。
喘息に関しましてもダニアレルギーの方にこういった治療する方法もあるんですが、ちょっと有効性が100%ではないので、なかなかやるのも注射でやる方法とか色々あるんですけど、なかなか大変なものですから、現実にはあまり行われていません。

後編はこちら
 
 
呼吸器内科
アレルギー科