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「痛風の患者さんへ【前編】」市民健向講座 2021年度 第1回

 2021年7月16日(金)から8月16日(月)の期間に、複十字病院 膠原病リウマチセンター 谷口敦夫医師が講師を務め、「痛風の患者さんへ」をテーマとして市民健向講座を動画配信形式で開催しました。
ご視聴頂いた皆様、ありがとうございました。

 本記事では、配信内容のうち、前編として以下の項目についてご紹介いたします。
痛風と診断されてしまった方、尿酸値が高く痛風が心配な方など、痛風について知りたい方はぜひご覧ください。

前編

  1. 「痛風」とは
  2. 「痛風」はどうして起こるのか
  3. 「痛風」を治療せずに放っておくとどうなるのか
  4. 「痛風」の治療はどうするのか
  5. 「痛風」で痛いときに、ご自分でできること
  6. 「痛風発作」が良くなっても…

「痛風」とは


 「痛風」は、ある日突然関節が腫れます。特に足の親指の付け根に起こることが多いですが、赤く腫れ上がり、かなりの痛みを伴う、このような病気です。
 今回は、痛風がどうして起こるのか、治療せずに放っておくとどうなるのか、また、治療はどうするのか、ご自分でできること、日常生活などについてお話をさせていただきたいと思います。

「痛風」はどうして起こるのか


 健康診断の際に、よく「尿酸」という項目がございます。血液で測りますが、7.0を超えると尿酸値が高いと言われます。男性の方に多く、尿酸値が高い状態が長く続いたり、あるいはその尿酸値の高い程度が強くなったりしますと、一部の方で関節の中に尿酸が固まっていきます。
 


 このように、関節の中で尿酸が固まるという現象が起きます。
 


【A・B】
一旦このような塊ができてしまうと、徐々にその量が増えます。
【C】
その量がある程度増えてくると、関節と骨と骨の間にこの尿酸の塊が落ちていきます。
【D・E】
その後、体の中の白血球がこれは邪魔なものだ、異物だと認識して、これを溶かそうと攻撃しにやってまいります。
【F】
その結果、色々な炎上を起こす物質が出ることで、関節炎が起きます。

これが「痛風発作」と言われるものです。
 


 関節が赤く腫れ上がっている状態の時には、関節の中で左図のようなことが起こっています。こうなりますと、よく関節の中に水が溜まります。それを抜いて調べ、顕微鏡で見ると右図のように、尿酸の塊と白血球があり、白血球が尿酸の塊を飲み込もうとしていることがわかります。

「痛風」を治療せずに放っておくとどうなるのか


【A・B】
痛風発作の痛みはとても痛いですが、このようなこぼれ落ちた尿酸の塊が溶けてくると、痛みも良くなっていきます。大抵は2週間以内に良くなることがほとんどです。しかし、このままでは、再び関節に溜まっていきます。
【C】
ある程度溜まってくると、そこから尿酸の結晶の塊が落ちるようになり、再び痛風発作が起こります。
【D・E】
そのまま放置された場合、徐々に尿酸の塊の量が増えていきます。
【F】
そうして痛風発作が何回も起こるようになり、頻度が増えるだけではなく、痛い期間も長くなっていき、ずっと慢性化しやすくなります。
 


 それだけではなく、尿酸の塊が増えていくと、目で見てみても分かるようになっていきます。例えば、この方は親指の付け根に、こぶのようなものができています。これを「痛風結節」と呼んでいます。また、これは別の方ですが、親指にできた痛風結節が、時にはこのように骨まで壊してしまうこともあります。このような時期には腎機能も悪くなっていきます。

「痛風」の治療はどうするのか


 痛風発作は、最初のうちは2週間程度で良くなるという話をしました。しかし、痛みも強いです。会社を休まないといけないということも、決して少なくありません。
 痛風発作が起きた場合、お薬で治療した方が早く痛みは取れます。その時に使うお薬としては、いずれも医療機関で処方されるものですが、非ステロイド抗炎症薬・コルヒチン・ステロイド薬というものがあります。これらを大抵は単独で1種類使うことが多いですが、中には2種類併用することもあります。どのお薬を選ぶかというのは、痛みの強さや、患者さんの合併症、今現在服用しているお薬と合うかどうかなどを考慮し、最も適したお薬を医療機関で医師から処方を受けるということになります。

「痛風」で痛いときに、ご自分でできること


 お薬を用いた治療とはまた別に、痛いときにご自分で出来ることはないかということです。
やはり痛い関節を酷使しないということが大事です。好んで酷使をする方はいらっしゃらないと思いますが、お仕事があって忙しくて階段を駆け上がったりすると足の指を痛めるので、痛みが強くなったりします。
 それから、きつい靴を履いて仕事に出かけたり、あるいは作業靴や登山靴のような重い靴を履く、そのような場合にやはり負担になって、なかなか痛みが取れにくくなりますので、このようなものは避けていただきたいと思います。
 痛くなった関節ですが、温めるより冷やした方が痛みも早く引きやすいとされています。また、例えば寝た姿勢で関節を少し、座布団1枚ぐらい上げてやると楽になる場合も多いようです。
 


 痛風発作が起きて痛い間の食事はどうしたら良いかということですが、だいたいお酒はどの種類であっても痛風発作にはよくありません。禁酒が原則です。
 それから脂身の多い肉を避けていただきたいです。脂身の多い肉を摂りますと、痛風発作の引き金になるということが言われています。つまり、もし痛風発作が起きている時に肉を食べるならば、赤身ということになります。
 チェリーは、痛風発作を抑制する作用があるということが知られています。チェリーばかりを食べるわけにはいかないですが、知っておいても良い情報だと思います。

「痛風発作」が良くなっても…


 痛風発作が良くなっても、関節の中には尿酸の塊が残ります。そのままにしておくと、時間とともにその塊も増えていきます。そして、これまでお話ししましたように痛風発作が再び生じ、さらには痛い期間も長くなっていきます。なかなか治らなくなり、そうこうするうちに痛風結節もできてしまうということになります。
 そのようなことを防ぐためには、関節の中に溜まった尿酸の塊を減らす必要があります。このために使うのが尿酸値を下げるお薬です。現在、日本では尿酸を作りにくくするお薬が3種類、それから尿酸を尿に排泄する薬が4種類あります。これらを患者さんの状態によって使い分けて、医療機関で処方をいただくことになります。
 


 尿酸降下薬と言いますが、これを用いて、血清尿酸値が6.0以下を目標値としています。6.0以下になると、関節に溜まった尿酸の塊が溶けていきます。
 やはり、溶けるためには時間がかかることから、尿酸降下薬を長期服用する必要があります。尿酸降下薬は、原則的には比較的安全に飲めるお薬で、長期の服用に適した薬剤です。
 しかし、長期の服用になりますので、きちんと通院し、時々血液検査をお受けいただいた方が良いと思います。血液検査を受けて、血清尿酸値がしっかり6.0以下に保たれているかどうか。それから、副作用が少ないお薬だということを申し上げましたが、時々血液検査をすることで、副作用のチェックも可能になるはずです。

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