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病院のブログ

【健向講座】(前編)気管支喘息と上手につきあうために~気管支喘息ってどんな病気?~

2019年9月14日(土)午後2時より複十字病院副院長、早乙女医師を講師にテーマ【気管支喘息と上手につきあうために~気管支喘息ってどんな病気?~】について複十字病院健向講座を開催しました。

喘息の歴史から喘息治療の概要、そして喘息をお持ちの方に注意していただきたい、吸入薬の正しい使い方やお掃除を含め日頃の生活で注意するポイントなどを情報提供させていただきました。
当日、ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。

まずは、前編として喘息の歴史から、喘息の管理目標、治療の基本や治療ステップについて当日の内容をご紹介いたします!

  1. 喘息の歴史-1
  2. 喘息の歴史-2
  3. 現代における喘息の概念
  4. 喘息と気道炎症
  5. 喘息の病態
  6. 喘息治療の基本的な考え方
  7. 喘息総患者数、受療率の推移
  8. 喘息死総数の年次推移
  9. 喘息死に占める高齢者の割合
  10. 喘息予防・管理ガイドライン
  11. 喘息の管理目標
  12. 未治療の喘息の臨床所見による重症度分類(成人)
  13. 喘息コントロール状態の評価
  14. 喘息治療の基本、基本の「き」
  15. 治療ステップ

喘息の歴史-1

●「喘」 あえぐ、激しく呼吸する、という意味。

●古代エジプト(紀元前1550年頃)の「医学パピルス」に喘息治療の記述あり。種々の食物の組み合わせや、香を調合して吸入・飲用するなどの「治療」をしていた。

●古代ギリシャ 「激しい息」 ἆσθμα(英語”Asthma“の語源)
・紀元前8世紀の叙事詩「イーリアス」(ホメーロス著)に登場。
・紀元前450年頃、ヒポクラテスの記載。「仕立て屋、漁師、金細工師に多い、気候と関係している、遺伝的要因がある可能性がある。治療は吐剤,下剤,浣腸,鼻への刺激剤,唾液分泌促進,去痰剤,蒸気浴など。
・2世紀にはガレノスが、喘息は気管支の狭窄・閉塞によるものであることを記した。当時の治療は、温浴による発汗促進,利尿剤,瀉血など。
●この他、世界各地で薬草のアルカロイド(主に抗コリン剤)などによる治療がおこなわれた形跡あり。大麻も喘息患者に広く使われたが、喘息発作時には症状を悪化させるという。

喘息というのは、昔からある病気で人類の歴史と共にずっとあった病気です。喘息の喘というのはあえぐ、“激しく呼吸する”という意味です。古代エジプトの紀元前1550年頃の医学パピルスの中に喘息治療の記述が出て参ります。当時、薬はありませんでしたので、いろいろな食べ物を組み合わたり、お香を調合するなどして、それらを飲んだり、吸引したりするという治療だったようです。
それから古代ギリシャ、ギリシャ語で激しい息という意味のアズマという言葉が古代ギリシャ文献に出て参ります。紀元前8世紀の叙事詩イーリアスにホメーロスが喘息のことについて書いています。紀元前450年には医学の祖と言われるヒポクラテスの著書の中に、喘息は、「仕立て屋」、「漁師」、「金細工師」に多く、気候とも関係している、遺伝的要因があると記述が残っています。
治療としては、吐かせる薬、下剤とか浣腸、鼻への刺激など、様々な薬を使ってみたと。2世紀になると、ガレノスというお医者様が“喘息は、気管支の狭窄・閉塞によるものである”ということを記しています。この他、世界各地で薬草、特にアルカロイド、今で言うと抗コリン剤。そういうものが治療に使われた形跡があります。大麻も19世紀辺りまで喘息患者に広く使われたそうですが、発作を起こしたときに使用すると具合が悪くなるということが言われておりました。

喘息の歴史-2

●漢方の基礎である黄帝内経「素問」に、「喘鳴」の記載。
・紀元前200年頃~(現存する7世紀以降の写本の一部に記載)

●紀元前から中国で治療に「麻黄」(エフェドリン)を使用。

●19世紀末 交感神経β受容体刺激剤「アドレナリン」登場。

●1920年代 「テオフィリン」(茶葉に含まれるアルカロイド)による治療。

●1950年代~ 副腎皮質ステロイドホルモン「コーチゾン」の注射が有効であることから、喘息の基本病態が気道の慢性炎症であることが指摘され始め、1970年代には気道炎症を抑える「吸入ステロイド剤」が発売された。

東洋においては漢方の基礎である黄帝内経という本の素問というところに記載がございます。7世紀、写本のところに出てくると。紀元前からは、中国で治療に麻黄という薬草が使われておりました。これエフェドリンという成分で、今でも咳止めや市販薬にかなり入っている、そういう成分です。ただ19世紀末になって交感神経β受容体刺激剤アドレナリンというのが登場しました。これは非常に重要な薬で、気管支を広げたり、血圧が下がった人の血圧を上げたりと大変役に立つ薬です。それから1920年代になって、テオフィリン(お茶の葉っぱに含まれるアルカロイド)の濃度を高くして使うと喘息が良くなるということが知られるようになりました。さらに、1950年代になりまして、副腎皮質ステロイドホルモン、コーチゾンというのが喘息に注射すると有効であるということが分かって、その後喘息の基本病態は気道の慢性炎症、アレルギーによる炎症であるということが分かり1970年代には気道炎症を抑える吸入ステロイド剤が発売されました。これで現在使われている喘息の薬の主な役者が揃ったということになります。

現代における喘息の概念

現代の喘息の概念ですが、気道炎症がその本態であると考えられています。気道を構成している細胞にアレルギー反応が起きて炎症を起こすのですね。細胞自身だけではなく、液性因子というのは、血液とか体液に含まれている色々な成分ですが、これらが相まって気道炎症を起こします。気道過敏性亢進、これは気管支が非常に敏感になり、ちょっとした刺激でもキュッと閉まってしまうということ。そういう状況になっていった結果、気道狭窄を起こして神経が刺激されるということで、変動性を持った喘鳴であるとか、呼吸困難であるとか咳が出るというのが喘鳴の病態。気道狭窄・気道炎症がずっと続いて、だんだん気管支の壁が厚くなって固くなって元に戻らないパイプの壁がだんだん厚くなって細くなっちゃうというのが気道リモデリング。これが起きてしまうと喘息はなかなか治らない、重症化するということが知られています。

喘息と気道炎症


喘息と気道炎症を模式図にしたものです。一番左側の絵が気管支をちょっと縦割りにした断面の絵です。1番左の正常な気管支の断面、縦割りです。それから左から2番目、これが気道炎症を起こしている気管支の中に主としてアレルギーによって炎症が起きて、中が赤く腫れ上がるような細胞が集まってくる、気管支がむくんで少し狭くなっている状態。この状態、非常に敏感なになっていますので、ちょっとした刺激が加わると左から3番目のようにキュっと気管支が狭くなって、中の空気の流れが速くなって「ヒューヒューヒューヒュー音」がすると、これが喘息の発作の状態。この喘息の発作とその炎症の間をいったりきたりするのが喘息の患者さんの特徴ですが、これが長いこと続きますと一番右側のようにガチガチに固まってしまった壁の厚いパイプになってしまいます。これがリモデリングと言います。このリモデリングしてしまうと元には戻らなくなってしまいます。

喘息の病態


現在、様々な学問が発達しています。細胞、いろんな成分が喘息の病気の病態にかかわっていることが分かってきています。少し難しい話になりますが、アレルゲンっていうアレルギーのもと、気道上皮にやってくると、いろんな反応が起きて色んな細胞が関わって最終的に気管支がギュッとしまって 気管支の中が狭くなる。その他にアレルゲンと関係なく自然免疫というものがございまして、そちらの方もやはり気管支を収縮させる方向に働く。色んな成分をそれぞれ抑える薬が今開発中で、先ほどお話しした薬の他に、色んな新薬がどんどん作られてくる、そういう時代になってきています。

喘息治療の基本的な考え方

喘息治療の基本的な考え方をお話しします。
まず気道、気管支がギュっと締まっている、収縮しているものを解除する、元に戻すというのが一つ。それから慢性気道炎症自体その赤く腫れているので、元通りの綺麗な気管支に戻すという二つが気管支喘息の治療の基本的な考え方。これがうまくできないとリモデリングが起きて元に戻らないということになりますので将来的に困ったことになりますので、この気道収縮を解除する、そして炎症を改善させるということは非常に重要です。

喘息総患者数、受療率の推移


喘息の総患者数が喘息の受療率の医療機関を受診する率ですが、1996年から2014年までをプロットしていますが患者数としてはあまり変わらない。受療率は下がってきたと。これはお薬が良くなって、それほど頻繁に処置に行かなくてもよくなったということだと思います。

喘息死総数の年次推移


喘息の死亡数です。一番左が1950年、今から70年ぐらい前です。当時は毎年16000人の日本人が喘息で亡くなっておりました。若い人も含めかなりの人が亡くなっていた時代です。喘息の死亡は右肩下がりでどんどんどんどん減ってきて2016年には1454人、2017年には1791人。昔と比べると、約10分の1に減っています。これはひとえにお薬が良くなった、皆さんの喘息に対する理解が高まって、喘息を重症化させないということができるようになってきた結果です。

喘息死に占める高齢者の割合


これは喘息で亡くなった方の年齢分布の推移です。オレンジ色の部分が65歳未満の比較的若い方、紫色が65歳以上の方です。一番左が1950年、一番右が2016年。オレンジ色の部分がだんだんだんだん少なくなって、若い人で、現在喘息で亡くなる方は非常に少なくなりました。これは何を意味するかと言うと、1950年代は薬がなかったのです。だからどうしても喘息の方は重症で亡くなってしまう。それは仕方がなかった時代ですけれども、その時代を何とか生き抜いた方もリモデリングが進んでしまうと、中が狭くなり気管支が収縮することでちょっとした刺激でも気管支が閉じて死んでしまうということが起きやすいのです。辛い時代を頑張って生きてきた人が年取って亡くなるケースもどうしても出てくる。ただ、若い人たちは、今は薬が良いですから重症化させないということができるようになってきて、20代以下の喘息死者は年間数人という風に今はなっています。

喘息予防・管理ガイドライン

喘息予防・管理ガイドライン2018の中から重要な部分だけ少しご説明いたします。

喘息の管理目標


喘息の管理目標です。まず症状コントロールすること。発作や喘息症状がない状態を保つということです。気道炎症を制御して、正常な呼吸機能を保つと、それから将来のリスク回避、これは再三申し上げているリモデリングを防ぐと。呼吸機能の経年低下を抑制して、喘息死を回避していく、治療薬の副作用発現を回避していくと。これが管理目標です。

未治療の喘息の臨床所見による重症度分類(成人)

喘息の重症度。軽症間欠型、軽症持続型、中等症持続型、重症持続型という風に喘息の重症度を段階分けしています。軽症間欠型が一番軽いのですが、この下に本当に何もない状態がありますが発作は週一回未満であると、症状は軽度であると、それから夜間症状は月に2回未満ということが軽度間欠型、一番軽いとされる状況です。これでも実はコントロールがいいとは言えない。最重症になっていくと、薬をいっぱい使わなければコントロールできない状態です。

喘息コントロール状態の評価


喘息コントロール状態の評価。コントロール良好と、問題ないという状況の方は喘息症状なし、発作治療薬の使用も必要ないと、それから運動含む活動制限もいらないと、それから呼吸機能にも特に変動がないといったことで、いわば症状ゼロ、何も起きません。喘息は忘れてしまいましたというぐらいに症状が良くなったら初めてコントロール良好っていうようにいいます。時々ゼーゼーするとか、苦しいとか、ちょっと冷たい空気吸うと変だとか、これはコントロール良好とは言えないのです。今のガイドラインは症状のゼロを目指しておりますので、よく覚えていてください。

気管支喘息の治療、基本の「き」

気管支喘息の治療、基本の「き」

  1. 喘息症状ゼロを継続しましょう。
  2. 症状がなくても、医師の指示があるまでお薬はやめないこと!
  3. 症状悪化時の対処は、あらかじめ主治医に聞いておきましょう。
    → 普段の吸入薬の追加使用、発作治療薬の使用など

喘息治療の基本の「き」は、喘息症状ゼロを継続すること、そして、症状はなくても炎症が残っていることがありますから、医師の指示があるまでお薬は止めないでください。症状悪化時の対処についてはあらかじめ主治医に聞いておきましょう。吸入薬を増やしたり、発作治療薬使ったりという方法があらかじめ教えといてもらった方がいいです。

治療ステップ


治療ステップ、重症度に応じていろんな薬を使っているという表です。喘息の薬は、いっぱいあります。重症になればなるほど、いろんな薬を組み合わせて使っていきましょうという表になってます。

【きよせ喘息教室~気管支喘息と上手につきあうために~気管支喘息ってどんな病気?】後編はこちら

●病気について(アレルギー疾患)
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