【後編】息切れをしやすい動作とその対策
息切れは、「呼吸に伴う不快な感覚」です。そのため、人によって息切れの感じ方は様々です。「息が吸いにくい」、「のどになにかが張り付いて呼吸がしにくい」など、人によって息切れの表現や強さは様々で、息切れを感じる動作やタイミングも異なります。そこで、今回は息切れを起こしやすい動作の紹介とその対策について一例をお伝えします。
息切れをしやすい動作として、以下5つを前編と後編の2回に分けて紹介します。
②排便
③着替え
④顔を洗う
⑤階段昇降
今回は、後編として③着替え、④顔を洗う、⑤階段昇降について紹介します。
どの動作にも共通する対策が以下のとおりです。
- 息切れをしやすい動作を知る
- ゆっくりと動作をする
- 時間に余裕をもってこまめに休憩をする、休憩をできる環境をつくる
- 息切れに慣れる
その他にも、息切れを起こしやすい動作はたくさんありますが、今回紹介する環境設定や動作方法を応用できる部分もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
前編では①入浴、②排便について紹介しました。
まだお読みでない方はこちらをご確認ください。
着替え
袖に腕を通す動作や、靴や靴下を履く時に前かがみになるとお腹が圧迫されて息切れを感じます。
<対処法>
環境設定
- 上着は前開きの物を選ぶ
- 椅子を利用する
動作方法
- (着るとき)かぶりシャツは先に腕をとおしてから頭の部分をかぶる
(脱ぐとき)腕を先にぬいてから頭の部分を脱ぐ - 靴下の着脱は、座った状態で足を組むように片足ずつ履く
- ズボンの着脱は立った状態ではなく、座った状態で行う
顔を洗う
前かがみになることで息切れを感じます。
<対処法>
環境設定
- 椅子を利用する
動作方法
- 息を吐きながら洗顔をする
- 蒸しタオルを使うことを考慮する
階段の昇り降り
<対処法>
環境設定
- 手すりを使用する(設置されている場合)
動作方法
- 登る(降りる)前に息を吸う
- 息を吐きながら数段(2~4段)登る(降りる)
- 足を止めて息を吸う
以降、2と3の繰り返し。一息で昇り降りする段数はご自身の息切れや動作速度に合わせて調整しましょう。
今回紹介した動作や対策はあくまで一例ですが、息切れに苦しんでいる方はぜひ実践してみて下さい。息切れの程度は人によって異なります。呼吸リハビリテーションでは、個人個人に合わせた呼吸法や動作方法を指導しています。呼吸リハビリテーションを希望される方は主治医までご相談ください。
※呼吸リハビリテーションを実施する際には主治医の処方が必要になります。まずは、呼吸リハビリテーションの適応があるどうか、標準的な治療が行われているか、実施を妨げるような他の病気がないかなどを主治医に判断してもらう必要があります。
※写真については、ご本人の承諾の上、掲載しています。
参考資料
呼吸器疾患のセルフマネジメント支援マニュアル、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌、第31巻 増刊号(2022年)