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病院のブログ

当院の認知症診療を紹介します!


認知症は高齢者の二人に一人(55%)が生涯に罹患する疾患で、高齢化率が上昇するとともに患者数も増える一方です。その約7割はアルツハイマー型認知症です。
これまで、特効薬は存在しませんでしたが、「レケンビ®」という新薬が2023年末に保険適用となり、当センターでは、2024年3月より投与開始しました。
また、昨年末に「ケサンラ®」という、ほぼ同様の効果をもつ薬剤も登場しています。

レケンビ®とケサンラ®は、アミロイドβというアルツハイマー病の病原タンパク質を脳から除去して病気の進行を遅らせる薬剤ですから、歴史上初めてアルツハイマー病の病原物質に関わる治療ができるようになったということになります。

つまり、この二年間の新薬の登場で認知症対策が新時代に入ったことを意味します。

その治療効果ですが、18か月の投与で7か月程度進行を遅らせるという臨床試験のデータがあります。「なんだ、その程度か」とか「そんなに効かないじゃないか」と思った方もおられるでしょう。ただし、この数字は、あくまでも平均値で、しかも対象者の多くは外国人でした。
日本人で、どの程度進行して、どういう体質の方に、どのように効くかは、個別の問題なので、平均値からは知ることができません。

当院では、レケンビ®を約一年使用してみて、その効果が少しずつ分かって来ました。
まず、脳の病原物質は確実に減少させる薬であること、そして、やはり症状の軽いごく早期の方でよく効くこと、が分かってきました。

「ごく早期」とは、身の回りのことは問題なくできるが、何となく忘れっぽい、という段階です。今が何月か何曜日かわからなくなってからでは、効果は少なくなります。

現在の診断技術は非常に進んでいて、ごく早期の診断、もっと言えば、症状が出る二年前のほぼ正常の段階でも診断ができます。

ですから、50歳から80歳までの方で、「なんか変だ」くらいでの受診、とにかく早めの受診をお勧めいたします。
アルツハイマー病であれば、早期治療ができますし、そうでなければ、急速には進行しませんので、認知症を予防する生活習慣を実施していただければ十分です。
ですから、「もう少し経過を見る」ことに意味はありません。せっかくの早期治療の機会を逃すことになってしまうわけですから。
アルツハイマー病では、早期診断が何よりも重要なのです。

認知症疾患医療センター長 飯塚 友道

 
脳神経内科(認知症疾患医療センター)