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複十字病院の乳腺外科は、北多摩地区の乳癌診療の中核を担う目的で平成16年10月に第二診療部乳腺外科として発足しました。
平成17年1月には日本乳癌学会認定施設(認定施設番号:3074)(日本乳癌学会認定・関連施設:http://www.jbcs.gr.jp/shisetu/shisetu.html)に指定されております。同年8月より乳房温存手術に対して残存乳房の整容性を重視した乳癌内視鏡手術を開始致しました。
平成18年4月には、乳腺センター乳腺外科として独立し、同年7月には院内倫理委員会の承認を得てセンチネルリンパ節生検を開始し、転移陰性の場合は乳癌手術において腋窩リンパ節郭清を省略しております。また同年8月には、よりよい環境で抗癌剤治療を受けていただくべく、外来化学療法室をオープン致しました。
一方、当科では精神的ケアを含めたトータルな乳癌治療を目指しており、平成19年1月より臨床心理士による心理カウンセリングを乳癌患者全員に対して行っております。また、同年9月からは当院で手術され適応のある患者さんに対して、リンパ浮腫カウンセリング(MLD、理学療法など)を開始しております。
複十字病院乳腺センター主催の市民公開講座は、平成18年11月に第一回を開催してから、継続的に開催してきております。また、複十字病院乳癌患者の会「秋桜の会」が平成20年1月に発足し、活発な情報交換の場として活動しております。
さらには、患者会のボランティアを加えたメンタル面でのバックアップ、リンパ浮腫に対するケアなどをさらに充実させ、次の遺伝子診断・医療連携へ向け、患者側に立った質の高い医療の提供を目指してまいります。
当科の特徴は、乳癌の治療において患者さんに生活の質(QOL)の高い医療を提供していくことを目標にしております。その実現のために、以下の5つを重要項目と考え、その整備と充実を目指して診療に取り組んでおります。
乳癌の外科治療においては、乳房温存手術が主流となってきています。そういった中で、近年は、単に乳房を残せばよいというのではなく、できるだけ整容性の高い乳房が求められるようになってきています。当科では乳房温存手術において、乳房の整容性を維持する目的で、内視鏡補助下乳房温存手術を行っております。内視鏡を使用することで、切開創を小さく目立たなくすることが可能となり、整容性の高い乳房を実現しております。しかし、乳癌の根治性を落とさないことが最も重要との考えから、基本的には皮膚浸潤のない乳房温存手術の可能な症例に対して行っておりますが、保険診療の適応の範囲内で患者さんのご希望を重視して相談に応じております。(「複十字病院で行っている乳癌内視鏡手術」を参照)
乳癌術後に術側上肢のリンパ浮腫を回避する目的で、センチネル(見張り)リンパ節生検(SNB = Sentinel Node Biopsy)が行われるようになってきております。SNBとは、乳癌が転移する際に、最初に転移するリンパ節のことで、このリンパ節に転移がなければ脇のリンパ節を切除する意味は無いという考えから、術後の患側上肢のむくみ(いわゆるリンパ浮腫)を回避する目的で行われるようになってきた治療法です。約一年のSNBの準備期間(Feasibility study)を終了し、本治療(Observation study)をRI法および色素法の併用法で、当院の倫理委員会の承認を得て平成18年7月より開始いたしました。平成22年4月より保険適応となり、現在は保険診療の中で行っております。
抗癌剤治療の副作用の軽減と効果の増大を図る目的で、クロノテラピー(時間治療)という考え方があります。今後、この治療の臨床応用および当院での導入に向けて、準備を開始いたします。(太陽・地球・生態系と時間治療研究会ホームページ:http://chrono.umin.jp/)
乳癌の診療は専門医だけで行えるものではなく、他科の医師および多くの部署のコメディカルとの連携によるチーム医療の上に成り立つものです。当科では、乳癌患者さんに対してのきめ細かなケアを実践していくにはチーム医療が必須と考え、開設当初よりその整備に取り組んでまいりました(「診療内容」を参照)。現在では、チーム医療が整った施設としては、多摩地区でもトップクラスにあります。今後、さらに充実したチーム医療の体制強化を図ってまいりたいと思っております。
乳癌の治療は5年以上、経過観察は10年以上になることが多く、乳癌の診療には長期にわたる通院が必要となります。乳癌患者さんには、このことを考慮して、治療当初よりお住まいの近くの通院しやすい施設を選択することが求められます。当科は、診断(検診も含む)から治療・緩和ケア・終末期まで一貫したトータルな診療が可能なことから、東京都北多摩地区の乳癌診療の基幹病院として、地域の医療機関と密な医療連携を構築してまいります。東京都が作成しました「乳がんの連携パス」を使用して、患者さんは近くのどの連携医療機関を受診しても、安心して高い水準で、乳癌術後のケアを受けられるシステムづくりを目指しております。
当科は乳癌をはじめとする乳腺の様々な疾患および甲状腺疾患の診断と治療を行っています。乳癌の診断と治療は多岐に亘っているため、外来や病棟のスタッフはもちろん、放射線科医・病理医・麻酔医・化学療法科医などの医師、核医学科・臨床検査科・薬剤科・臨床心理科・理学療法科・緩和ケア科・外来化学療法室など院内の多くの部署との連携のもとに行っています。
乳癌の診断については、マンモグラフィ・超音波(エコー)・細胞診・針生検・マンモトーム生検・外科的生検・乳管造影・CT・MRI・核医学検査(PET/CT・骨シンチ)などの機器を備え、あらゆる乳腺疾患に対応できる体制が整っております。
乳癌検診におきましても、当院健康管理センターとの連携で、マンモグラフィ撮影認定技師9名、マンモグラフィ読影認定医師6名(非常勤医2名を含む)(マンモグラフィ精度管理中央委員会:http://www.mammography.jp/)のスタッフにて、年間約5000件に対応しております。
乳癌の治療は、外科療法・放射線療法・薬物療法のすべてに関して、他科との連携の下に行っております。また、心のケアも重視した体制を整備しております。
武田 泰隆(部長):
日本乳癌学会乳腺専門医、検診マンモグラフィ読影認定医、日本外科学会指導医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本がん治療認定医機構認定医、日本消化器外科学会指導医、日本消化器内視鏡学会指導医
小西 寿一郎(科長):
日本乳癌学会認定医、検診マンモグラフィ読影認定医、日本外科学会専門医、日本がん治療認定医機構認定医
田中 規幹(主任):
検診マンモグラフィ読影認定医、日本外科学会専門医
関口 守正(非常勤):
元東京大学医科学研究所外科教授
| H16年 | H17年 | H18年 | H19年 | H20年 | H21年 | H22年 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 新患 | 234 | 905 | 957 | 1205 | 1045 | 1092 | 1224 |
| 再診 | 571 | 4308 | 6830 |
8601 | 9466 | 11047 | 12180 |
| 合計 | 805 | 5213 | 7787 | 9806 | 10511 | 12139 | 13404 |
| H16年 | H17年 | H18年 | H19年 | H20年 | H21年 | H22年 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 乳癌 | 10 | 55 | 61 | 73 | 96 | 100 | 124 |
| センチネルリンパ節生検 | 0 | 0 | 22 |
55 | 70 | 76 | 102 |
| 乳腺良性腫瘍 | 2 | 20 | 19 |
10 | 5 | 11 | 5 |
| その他乳腺手術 | 2 | 14 | 2 | 5 | 7 | 7 | 8 |
| 甲状腺手術 | 0 | 3 | 7 | 7 | 6 | 5 | 4 |
| その他 | 0 | 4 | 17 | 4 | 11 | 4 | 6 |
| 合計 | 14 | 96 | 128 | 154 | 195 | 203 | 249 |
| H16年 | H17年 | H18年 | H19年 | H20年 | H21年 | H22年 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 胸筋合併乳房切除 | 0 | 0 | 1 | 2 | 2 | 2 | 1 |
| 胸筋温存乳房切除 | 3 | 37 |
34 |
35 | 37 | 51 | 49 |
| 乳房温存 | 7 | 18 | 26 | 39 | 57 | 49 | 76 |
| 内視鏡手術 | 0 | 5 | 23 | 36 | 47 | 40 | 63 |
| 合計 | 10 | 55 | 61 | 76 | 96 | 102 | 126 |
| 温存率(%) | 70.0 | 32.7 | 42.6 | 51.3 | 59.4 | 48.0 | 60.3 |
(同時両側乳癌は症例数として2例とカウントした)
当科の外来は、平日毎日と第四土曜日に行っており、予約制を原則としております。予約なしに当日いらした患者さんも、原則としてお断りはしないことにしておりますが、乳腺外科では患者さんが非常に多く、ほとんどの診療時間が予約の患者さんで埋まっている状態です。このため、予約なしていらした方は、長時間お待たせすることとなり、またすでに予約をしている患者さんに大変ご迷惑をおかけすることになります。より安全で質の高い診療を維持するためにも、必ず予約をとっていただきますようご協力をお願いいたします。
※乳腺疾患に関するセカンドオピニオンは、当院地域連携室までお願い致します(要予約)。予約についてはこちらをご参照ください。
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