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当科は結核療養所の呼吸器外科部門として誕生し60年以上に亘る呼吸器外科診療の歴史を有します。これまでに行った肺切除件数は6,000例を超えています (平成20年3月現在)。
開設当初は肺結核に対する外科治療を中心に診療を行っていましたが、その後の肺結核の減少と肺癌の増加を受けて肺癌の外科治療へ と重点を移してきました。肺癌の手術件数は現在関東地区有数となっています。
肺癌の他に呼吸器外科疾患全般に対する手術も行っており縦隔腫瘍、自然気胸の手術や昔からの伝統であるいわゆる炎症性疾患(肺結核、肺非結核性抗酸菌症、肺真菌症、膿胸)に対する外科治療も行っています。炎症性疾患の手術は癒着剥離などに高度な技術が要求され、これらの手術で培われた技術を肺癌手術にも活かしています。
呼吸器外科専門医合同委員会の基幹施設で5名の医師(うち3名は呼吸器外科専門医)が専任で呼吸器外科診療にあたっており、呼吸器内科との連携のもと肺癌を含めた呼吸器疾患の診断から治療までを一貫した形で行っています。セカンドオピニオンも受け付けています。
年間の呼吸器外科手術件数約200例のうち肺癌手術件数は80〜100例を占めます。肺癌は臨床病期I〜IIIA期までの非小細胞癌を手術対象としています。小細胞癌や臨床病期IIIB期の非小細胞癌に対しては導入化学療法を行い効果がみられた場合には、集学的治療の一環として手術療法を試みることもあります。肺癌に対する手術は肺葉切除ないし肺全摘除と縦隔リンパ節郭清を標準術式としています。腫瘍径2cm以下の小型肺癌に対しては肺機能温存を目的として区域切除を選択する場合もあります。
平成10年に現部長の白石が旧国立療養所東京病院より赴任してから胸腔鏡下手術を積極的に行うようになり、現在は臨床病期I期の肺癌では6〜8cmの補助開胸創を加えた胸腔鏡下手術を行い、臨床病期II期以上の肺癌でも胸腔鏡を併用して可能な限り小さな傷で手術を行うようにしています。手術中の出血も極力抑えるようにしており、術中出血量は200ml未満で輸血を必要とすることはほとんどありません。傷の痛みも少なく患者さまは手術翌日から歩行が可能です。術後入院期間も8〜10日です。
肺癌の肺切除についてはクリニカルパスを導入し患者さまに入院から手術そして退院までの治療計画を分かりやすく説明しています。肺癌は手術後も最低5年間は厳重に経過観察する必要があり、手術後の経過観察も地域連携クリニカルパスを導入してかかりつけ医と当科との共同で行っています。病理病期IB期以上の患者さまに対しては肺癌診療ガイドラインの推奨にのっとり術後補助化学療法を行うようにしています。万一再発した場合には病状に応じて化学療法・放射線療法・支援療法等を行い、クオリティオブライフを保ちつつ延命がはかれるように努めています。
97〜98年に手術を受けた患者さまの肺癌以外での死亡例も含めた5年生存率は、IA期75%、IB期66%、IIA期60%、IIB期25%、IIIA期30%、IIIB期22%です。
当科のもう一つの特色は炎症性疾患(肺結核、肺非結核性抗酸菌症、肺真菌症、膿胸)に対する手術を行っていることです。結核が国民病であった時代と比べ現在では炎症性疾患の手術に精通している呼吸器外科医は少なく当院の存在は貴重なものとなっています。そのため全国から治療に難渋している患者さまが紹介されてきています。
当科の炎症性疾患に対する治療成績は海外でも高く評価されており、その成績をまとめた論文はJournal of Thoracic and Cardiovascular Surgery、Annals of Thoracic Surgery、European Journal of Cardio-Thoracic Surgery といった欧米の胸部外科学会誌に掲載されています。さらに米国胸部疾患学会(ATS)が2007年に発表した、非結核性抗酸菌症のガイドライン(An Official ATS/IDSA Statement:Diagnosis、Treatment、and Prevention of Nontuberculous Mycobacterial Diseases)に当科の論文が引用されました。米国学会のガイドラインに日本の論文が引用されることは稀であり、それだけ当院の成績が評価されたことの証といえます。
「咳」、「たん」、「血痰」、「胸痛」、「息切れ」 など
「肺癌」「肺気腫」「肺腫瘍」「胸膜疾患」「縦隔腫瘍」「気管支拡張症」「自然気胸」「膿胸」「肺抗酸菌症」「横隔膜疾患」
白石 裕治:(昭和59年卒)
日本外科学会指導医、日本呼吸器外科学会指導医、日本胸部外科学会指導医、外科専門医、呼吸器外科専門医、気管鏡専門医、米国胸部外科学会(Society of Thoracic Surgeons)会員、米国医師免許試験(USMLE Step 1, Step 2)合格、ECFMG取得
葛城 直哉:(平成6年卒)
外科専門医、呼吸器外科専門医、気管支鏡専門医、
喜多 秀文:(平成8年卒)
外科専門医、気管支鏡専門医、日本消化器内視鏡学会専門医
砥石 政幸:(平成9年卒)
外科専門医、呼吸器外科専門医
恩田 貴人:(平成15年卒)
外科修練医
| H17年度 | H18年度 | H19年度 | |
|---|---|---|---|
| 肺悪性腫瘍 | 80 |
87 |
99 |
| 肺良性腫瘍 | 6 |
4 |
5 |
| 縦隔腫瘍 | 8 |
10 |
9 |
| 自然気胸 | 25 |
38 |
32 |
| 肺抗酸菌症 | 16 |
12 |
16 |
| 肺真菌症 | 4 |
4 |
7 |
| 膿胸 | 16 |
18 |
16 |
| その他 | 17 |
20 |
20 |
| 総数 | 172 |
193 |
204 |
| 胸腔鏡下手術 | 108 |
137 |
117 |
当院の呼吸器外科長、白石裕治は、米国Best Doctors社の「ベストドクターズTM」"The Best Doctors in JapanTM 2008〜2009"に選出されました。
ベストドクターズ社の名医選出方法は非常に単純です。膨大な数の医師に対して、「もしあなたやあなたのご家族が、あなたの専門分野の病気にかかった場合、どの医師に治療をお願いしますか」とアンケートします。その中で治療能力、研究成果、最新医療情報への精通度などを考慮した上で、ある一定以上の評価を得た医師(それぞれの国での医師全体の上位1〜5%程度)を名医(BestDoctorsTM)と認定します。
これは、米国の一流企業や一部の日本企業で、取り入れられている人事評価制度(ピア・レビュー)の仕組みと同様で、これを医学界という途方もなく広い範囲で行っています。
現在までで全世界で延べ100万人におよぶ医師にこの質問を繰り返し、40以上の専門分野、400以上の副専門分野から、米国で約30,000名をはじめとして世界中で50,000名以上を名医と認定しており、日本でも約2,400名を名医と認定しています。
この調査は、専門分野ごとに9〜12ヶ月にわたっておこなわれ、名医のデータベースは随時に更新されます。常に医療の最前線で活躍している、経験豊富な医師のみが登録されています。
ベストドクターズ、Best Doctors in Japanは米国および他国におけるベストドクターズ社の商標または登録商標です。
