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診療案内

中央手術部(麻酔科)

中央手術部について

当麻酔科は外科系各科との連携のもと、術前診察をはじめ術中においても、徹底した麻酔管理と経過観察をしており、術後の痛みについても可能な限り取り除くように努めています。患者さんにとって心身ともに安心と安全である確かな医療を行っております。
上述の手術室麻酔管理以外にも院内の緩和ケアチームの中心的役割を担い悪性疾患の緩和医療にもあたっています。

当院で手術をお受けになる患者さんへ

麻酔科医師を初め当院手術室スタッフは、手術を受ける患者さんに『周術期を安全で安心して過ごしてほしい』と思っております。
周術期とは、手術が決定した時点から、入院して手術を受け術後病棟で過ごし、元の生活環境に戻るまでの期間を指します。
つまり、手術が決定した段階から「術前」ということになります。
当院では手術が決まった時から、安心して手術に臨み、安全に手術が終了し、苦痛なく退院までお過ごしいただけるように、麻酔科医師のみならず、診療科医師、手術室看護師、病棟看護師、薬剤師など多くの職種からなるメンバーがチームとなり情報を共有しています。
その共有した情報をもとに、各メンバーが以下の図のような役割を果たすことで安全で安心な周術期の実現が可能になります。

診療内容と積極的な取り組み

手術が決まった時点から禁煙の徹底をお願いしています

当院では手術が決まった時点からの禁煙をお願いしています。
禁煙をした場合、禁煙しなかった場合と比べて術後の呼吸器合併症(肺炎など)の発生率(%)が変わるからです。

『術後呼吸器合併症の発生率』
呼吸機能検査の正常な非喫煙者              1.6%
呼吸機能検査が正常な喫煙者               4.7%(3倍)
呼吸機能検査で末梢気道機能に少しでも障害がある喫煙者  16.5%(10倍)

禁煙によりその発生率は軽減しますが、4週間以上の期間が必要です。禁煙後4週間以上経過してから手術となるのが理想的です。しかしながら手術を急ぐ場合などは数日間の禁煙でも、一酸化炭素ヘモグロビン(喫煙により増えてしまう酸素を運ぶ能力が低いヘモグロビン)が減少し、体の酸素を運搬する能力があがり、酸素を利用しやすくなるようになります。是非手術が予定された時点から禁煙をお願いします。

呼吸機能が悪い患者さんの全身麻酔

当院では呼吸機能が悪い患者さんの全身麻酔を行うことも多いです。
呼吸機能検査だけではなく様々な術前検査から呼吸器合併症のリスク評価を徹底して行います。そしてリスクが高いと判断した場合には、上記の周術期管理チームで協力し、早期の呼吸リハビリテーションの開始を検討します。さらに栄養状態や体力の改善を促し、必要であれば呼吸器科医師と相談し内服薬や吸入薬の調整を行います。最善の状態で全身麻酔を受けて頂ける時期で手術を行えるように調整しています。

術後の疼痛管理を強化しています

当院では安心して術前を過ごし、安全に手術を終えることはもちろんですが、術後の痛みをしっかりと抑えて苦痛なく過ごしていただくに為に様々な方法で痛みのコントロールを行っております。入院後、担当麻酔科医と面談し最適な方法を決定します。

・持続硬膜外麻酔
・神経ブロック
・持続麻薬静脈内投与

それぞれにPCA装置(PCA:patient controlled analgesia)がついています。
PCA装置とは痛みを感じたときに、患者さん自身がボタンを押す操作をすることにより自ら鎮痛薬を投与する方法です。

最新の取り組み:呼吸器外科手術に対する超音波ガイド下神経ブロック(胸部傍脊椎ブロック)

カメラを使った胸腔鏡手術Video assisted thoracoscopic surgery(VATS)は従来の開胸手術に比べ低侵襲で、患者さんの予後を改善するとされていますが、術後の痛みは比較的強く『痛み的には低侵襲ではありません』。
早期にリハビリ開始することの重要性は周術期一般に認識されていますが、積極的な深呼吸や排痰の促進はとりわけ呼吸器外科手術において大切にしなければなりません。その為には良好な術後疼痛管理を行うことが必須となります。麻薬や消炎鎮痛薬を上手に使用しても満足のいく鎮痛を得ることが難しいため、VATSに限らず胸部外科手術では、昔から硬膜外麻酔が選択されてきました。確かに痛みを良好に管理できるのですが、一方で尿閉(おしっこがしずらい)や悪心・嘔吐、かゆみ、低血圧といった症状も多く見られます。VATSのような低侵襲手術では早期にリハビリが可能なはずですが、このような症状があった場合、リハビリを妨げることにつながります。低侵襲手術にこそ良好な疼痛管理と、上記のような症状が少ない、言うなれば“低侵襲の区域麻酔”が求められるのです。
近年、超音波装置の技術向上により様々な神経ブロックが安全に施行出来るようになっています。当院では、良質な術後の疼痛管理を行うため、硬膜外麻酔のみならず超音波ガイド下神経ブロック(胸部傍脊椎ブロック)も積極的に施行しています。硬膜外麻酔に比べ上記のような症状が出現することが少ないため、超音波ガイド下神経ブロック(胸部傍脊椎ブロック)を積極的に導入することにより、安全な周術期管理が可能となっております。詳しくは担当麻酔科医にご相談ください。

超音波ガイド下神経ブロック(胸部傍脊椎ブロック)の様子

結核やCOVID-19 手術と感染対策

当院は結核やCOVID-19が疑われる患者さんの手術は陰圧設備の整った手術室を使用しています。

手術室から外に結核菌やウイルスが漏れ出ることの無いように前室が必要な場合があります。
そういった場合には前室が出現し感染対策には十分に配慮できる構造となっています。

医師紹介

所属氏名
中央手術部長
菅原 真哉 (すがはら しんや)
卒業年次
日本医科大学医学部 昭和54年卒
専門分野
脳神経外科の麻酔・脊椎外科の麻酔
資格・学会
日本麻酔科学会 指導医・専門医
日本専門医機構 麻酔科専門医
麻酔科標榜医
医学博士
所属氏名
専門役
住谷 泰 (すみや やすし)
卒業年次
日本大学医学部 平成6年卒
専門分野
麻酔科
資格・学会
日本麻酔科学会 指導医・専門医
麻酔科標榜医
日本ホメオパシー医学会 認定医

診療実績

診療実績

年度 平成30年度 令和元年度 令和2年度
呼吸器外科 225 232 228
消化器外科 321 292 246
乳腺科 109 119 118
手術件数 655 643 592
鏡視下手術 341 304 268

(単位:件)

学術実績

結核Up to Date(南江堂):結核患者の麻酔はどうするか
日本臨床麻酔学会誌:VATS呼吸器外科手術における傍脊椎ブロックの有用性(令和3年度掲載)